NBA選手分析 Part2 トゥマニ・カマラ

NBA

今回はPOR(ポートランド・トレイルブレイザーズ)に在籍しているトゥマニ・カマラに関する様々なことをデータを用いて分析する。

①簡単な説明

身長 201㎝ 
体重 104㎏
ポジション PF
年齢 26歳

経歴
シャミナード=マドンナ・プレップ
     ↓
ジョージア大学
     ↓
ポートランド・トレイルブレイザーズ(2023-現在) ※2巡目全体52位指名(PHXから指名)

②ショットチャットから分かるプレースタイル

2025-2026シーズンのショットチャットは以下のようである。

成功数/試打数

① 左コーナー3 36/99
② 右コーナー3 24/86
③ ペイントエリア 134/200 
④ ミドルレンジ 10/23
⑤ コーナーを除いた3P 159/407

カマラのショットチャートを見ると、ミドルレンジのショットを極端に打たず、確率も低いという特徴が見られる。得点の仕方は基本的にゴール下、キャッチ&スリーであった。

ここで3Pを打つ前のドリブル数別のアテンプトを見てみた。すると0ドリブル(キャッチ&シュート)は5.7本であり、カマラの1試合の3P平均アテンプトが7.2だという事を加味すると1試合で放つ3Pのほとんどがキャッチ&シュートということになる。アブディアなどのスコアラーにディフェンスが集まることでコーナーや45度で待機しているカマラがアウトサイドでオープンな状態でシュートを放つことができる。

③トゥマニ・カマラのディフェンス力

一般的にカマラは3&Dと呼ばれるタイプの選手ででGからCまで幅広いタイプの選手を守ることができる万能ディフェンダーである。ここで2025-2026シーズンにおいてカマラとのマッチアップでカマラのディフェンスが効いた選手をランキングで紹介する。

指数は、カマラがマッチアップ相手の得点とFG%を抑えるほど低くなり、ターンオーバーの数も考慮し高く評価する。一方、カマラが多くのファウルをした場合は減点とした。なお、マッチアップ時間が極端に短い選手はサンプル数の影響を受けやすいため、ランキングでは10分以上のマッチアップ時間がある選手を対象とする。

順位選手名マッチアップ時間PTS/POSS(PPP)被eFG%TOV%防御スコア(低い順)
1位ジェイレン・ジョンソン(ATL)13:150.02625.0%33.7%3.7
2位キャム・スペンサー(MEM)10:440.03625.0%0.0%14.3
3位ダリアス・ガーランド (LAC)13:560.11919.2%0.0%15.6
4位パオロ・バンケロ(ORL)12:300.09742.9%22.5%19.5
5位ライアン・ロリンズ(MIL)10:570.18440.9%23.7%22.5
6位クーパー・フラッグ(DAL)14:080.21641.7%21.5%24.9
7位ジェイレン・ブランソン(NYK)15:440.16150.0%15.5%28.4
8位アンソニー・エドワーズ(MIN)20:390.29156.3%15.2%38.1

1位から8位は上図のようであった。ご覧の通りインサイド選手だけでなくGへのディフェンスが有効であることが分かる。バンケロのようなフィジカルの強いポストムーブを多用する選手、足が速く小柄なガーランドやブランソンなどの様々なスタイルの選手に対して強度の高いディフェンスをすることが可能である。

④トゥマニ・カマラの凄さ

NBAのなかで身長は201㎝とPFの中では大きくなく、ハンドリングやシュート力が特別優れているわけではない。ドラフトでも2巡目指名ともとから評価が高かったわけでもないが今ではPORにとって欠かせないロールプレイヤーとなった。ここでトゥマニ・カマラの凄さを解説します。

  • 判断力のセンス
    バスケットボールにおいて、判断力は非常に重要な能力の一つです。カマラの判断力で特に優れていると感じるのは、大きく分けて2つあります。ただ、カマラの判断力は、すべてを頭の中で計算してプレーしているというよりも、「ここだ」という瞬間を感覚的に察知する能力、いわばバスケットボールの嗅覚に優れているように感じます。
     1つ目は、カッティングのタイミングです。カッティングとは、ボールを持っていない選手がディフェンスの隙を突き、ゴール方向や空いているスペースへ走り込む動きのことです。ディフェンス側からすると、カッティングへの対応を迫られることで守るべき場所が増えるため、オフェンスにとって非常に有効なプレーになります。一方で、動くタイミングを間違えると味方のドライブするスペースを潰してしまったり、パスコースがなくなってターンオーバーにつながったりするリスクもあります。カマラは、ディフェンダーの視線や味方の動きを細かく分析しているというより、「今なら空く」という瞬間を感覚的に察知して動き出しているように見えます。 ディフェンダーがボールに意識を向けた一瞬や、味方のドライブによってスペースが生まれる瞬間を逃さず、迷いなくゴールへカットしていきます。この**「空く瞬間を感じ取る能力」こそ、カマラのカッティングの大きな武器**だと思います。
     2つ目は、ギャンブルやルーズボールなど、球際での判断力です。ここでいうギャンブルとは、失敗するリスクを承知したうえでスティールなどを狙いにいくプレーのことです。成功すればそのまま速攻につながる一方で、失敗すると自分のマークを空けてしまい、相手に数的優位を作られる危険があります。カマラは試合中に積極的にギャンブルを仕掛ける場面がありますが、これも細かく状況を計算しているというより、「今なら行ける」という感覚に優れているように見えます。味方の位置、相手の体勢、ボールの位置などを瞬間的に捉え、ボールを奪える匂いを感じたときに一気に仕掛ける。 そして、仮にスティールを狙って失敗しても、自らの運動能力を活かしてすぐにカバーへ戻ることができます。こうしたプレーを見ると、カマラの強みは単純な「頭の良さ」だけではなく、長年バスケットボールをプレーすることで培われた、直感的な判断力や嗅覚にあるのではないかと思います。「考えてから動く」のではなく、「感じ取ってから動く」。この反応の速さと嗅覚こそ、カマラのプレーを見ていて特に面白い部分です。

  • 縦と横の動き
    カマラのディフェンスで特に評価したいもう一つのポイントが、縦と横の動きです。まず横の動き、つまり相手のクロスオーバーなどの方向転換に対する対応力が非常に優れています。201cmというサイズがありながら、足の動きが速いため、小柄なガードとのマッチアップでも簡単に置き去りにされません。さらに、横への動きだけでなく、ドライブに対して後退しながら対応する縦のディフェンスにも優れています。通常、サイズのある選手はガードのような横の動きへの対応を苦手とすることがあります。
     一方で、小柄な選手は横にはついていけても、フィジカルやサイズの差によってドライブを止めることが難しい場合があります。カマラはその両方に対応できる点が大きな強みです。横方向への動きでガードのドライブを止め、縦方向への対応力とフィジカルでフォワードのドライブにも対応する。そのため、ガードからフォワードまで幅広いタイプの選手とマッチアップすることができます。さらにディフェンスのローテーションが発生した際にも、PGからCまで状況に応じてマッチアップを変えられるのは、縦と横のフットワークに加えて、201cmのサイズと強いフィジカルを兼ね備えているからこそでしょう。カマラは、単純に「足が速い」「体が強い」というだけではありません。サイズのある選手でありながらガードにも対応でき、ガードを守れる選手でありながらフォワードとのフィジカル勝負にも対応できる。この守れる選手の幅の広さこそ、カマラがPORにとって非常に価値の高いディフェンダーである理由だと思います。

まとめ

今回はトゥマニ・カマラのプレーについて講評しました。リーグ有数のロールプレイヤーとして、現在はPORのスタメンに定着しており、攻守両面でチームに欠かせない存在となっています。

特にディフェンス面では、複数ポジションを守れるフィジカルと高い対応力が大きな武器。オフェンスでは3Pやカットなど、周囲の選手を活かすプレーで貢献できる点も魅力です。

一方で、今後さらに評価を高めるためには、ドライブやハンドリング、シュートクリエイトなど、自ら得点を生み出す能力の向上が重要になりそうです。

来季も怪我なくシーズンを戦い抜き、リーグを代表する3&Dプレイヤーへと成長していく姿に期待したいところです。

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